ITO Thailand Hygiene Blog

Mar 07 2022

アレルゲン

            このようなラベル表示が義務付けられている食品とは、アレルゲンの成分を含む食品です。これは、一部の消費者が摂取した時、人の免疫系や自然の抗体により、呼吸困難や気管支の腫れ、唇の腫れ、じんましん等の異常や症状が発生し、ひどい場合には死亡するケースもあるタンパク質のグループです。ですが、これらの物質にアレルギーのない消費者なら、普通に摂取することのできるものです。

            したがって、各国の食品法では、アレルギーのある人の安全のため、食品製造者はこうしたアレルギーを起こす可能性のある成分をラベルに表示しなければならないと定めています。これにより、消費者は、食品を選別し、アレルギーを起こす食品を避けたり、アレルギーを起こさない別のタンパク質を摂取したりすることができるようになります。例えば、牛乳にアレルギーのある人は、植物性ミルクを飲むなどです。各国で適用している法律では、国内の大部分の人の遺伝子、多く消費される製品、地理的条件及び文化といった要因が異なっているため、明記しなければならないアレルゲンの種類も異なっています。したがって、事業者は、アレルゲンの情報提供に関し、まず、輸出先の国の法令を考慮しなければなりません。

            タイ国では、アレルゲンのラベル表示に関する法令は、保健省の食品・医薬品委員会が2017年保健省告示(第383号)「容器包装された食品のラベル表示」に定めていますが、ラベルに表示しなければならないアレルゲンとして以下のものを指定しています。

1.グルテン成分を含む穀類、すなわち、小麦、ライ麦、大麦、オート麦、スペルト小麦、又は、ハイブリッド種、及び、上記の穀類より作られた製品。但し、小麦及び大麦から作られたグルコースシロップ、小麦から作られたマルトデキストリン、及び、植物種子を蒸留して作られたアルコールを除く。

2.カニ、エビ、シャコ、ロブスター等の甲殻類、及び、これらの甲殻類より作られた製品。

3.卵、及び、卵より作られた製品。

4.魚、及び、魚より作られた製品。但し、ビタミン及びカロテノイドの加工助剤として使われる、魚より作られたゼラチンを除く。

5.ピーナッツ及び製品。

6.大豆及び製品。但し、精製した大豆油脂、大豆より作られたトコフェロール、植物ステロール、及びスタノールエステル類の物質等、一部の種類を除く。

7.乳、及び、乳より作られた製品。但し、ラクトースを除く。

8.種実類(胡桃、アーモンド、ピーカンナッツ等)及び製品。

9.1キログラムあたり10ミリグラム以上の量のサルファイト。

            ラベルへの表示方法は、製品に含まれるアレルゲンの性質によって異なります。

-これらの成分のある食品の場合、「アレルギーのある方へ:〜が含まれています」という文面を明記します。

-製造工程内での汚染のある食品の場合、「アレルギーのある方へ:〜が含まれていることがあります」という文面を明記します。

            工場内でのアレルゲン管理については、管理方法の例として、以下の事項が推奨されています。

1.原材料を評価する。アレルゲンの存在及び汚染可能性を検討。

2.工程全体で汚染可能性のある箇所を評価する。

3.完成品を評価する。

4.二次汚染のリスクを評価する。

5.リスクを低減又は排除するための管理策を策定する。

6.再製造又は手直しが必要な時の業務方法を規定する。

7.効率的で二次汚染のない適切な清掃の設計を行う。例えば、清掃用具にカラーコードを使用する、調理用具にカラーコードを使用する、又は、使い捨ての用具を使用する等。

8.二次汚染を防ぐため、アレルゲンを含む原材料及び製品、及び、アレルゲンを含まない原材料及び製品の保管の設計を行う。

9.大気中に浮遊したり、従業員ユニフォーム又は靴に付着したりする可能性のあるアレルゲンに注意する。

10.製造スケジュールを改善し、アレルゲンを含む製品と含まない製品を分離する。

11.従業員がアレルゲンの重要性を理解するようコミュニケーションする。

12.常時、方策の抜き取り検査及び試験を行う。

            タイの食品産業の持続的成長のため、ITOは安全な食品のあるタイ社会をサポートする一員となっていきます。

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Reference

1.2017年保健省告示(第383号)「容器包装された食品のラベル表示」

2.CODE OF PRACTICE ON FOOD ALLERGEN MANAGEMENT FOR FOOD BUSINESS OPERATORS (CXC 80-2020) online: https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/sh-proxy/en/?lnk=1&url=https%253A%252F%252Fworkspace.fao.org%252Fsites%252Fcodex%252FStandards%252FCXC%2B80-2020%252FCXC_080e.pdf

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