ITO Thailand Hygiene Blog
食品偽装
食品偽装、またはフードフラウドとは、意図的な行いにより発生するものです。 (1) 例えば、利益のために消費者を欺くことを目的に行われる表示、偽和、希釈や、食品、成分、原材料、梱包の品質情報や生産工程をラベルに不適切に変更することなどが挙げられます。最も頻繁に見られるのは、特定の原材料のより安価な原材料への変更、生産原価の削減、検査及び安全性基準を落とす行為です。(2)
食品偽装は食品の安全性と公衆衛生において多大な問題を引き起こし、商品や組織への信憑性、消費者の食品産業や関係者への信頼性に影響を与えます。これのみならず経済にも大きな影響を与えることとなります。欧州委員会の報告によれば食品偽装による損害額は年間300億ユーロにも及ぶと見積もられています。(3)(2022年2月時点の為替レートで約1.1兆バーツ。)
詐欺行為の形態は以下の通り7種¹に分類されます。
1.希釈(Dilution):高価な成分とより安価な成分を混ぜ合わせること。
2.代用(Substitution):より安価な原材料に変更すること。
3.隠蔽(Concealment):原材料や低品質の食品について隠蔽すること。
4.未承認の増強(Unapproved enhancement):認知されておらず食品製品上に表示されていない、品質面の資格を増強する化合物を入れること。
5.偽造(Counterfeit):知的財産の侵害。
6.不当表示(Mislabelling):ラベルや梱包に事実を歪曲した情報または不正確な情報を載せること。
7.グレーマーケット、偽作(Grey market, forgery):生産者または商標権者の許可が降りていない販売チャネルを通じて行われる取引のこと。
タイ国内ニュースからの最も分かりやすい食品偽装の例として、販売における重量を上げるために行われた海老の頭部への鉛の挿入や重量を上げ美味しそうな外観を作るためのジェルの注射が挙げられます。食品偽装問題の他にも、鉛は身体に悪影響を与える金属であり、身体の不調や異常を発生させる可能性があります。また、これに用いられたジェルは大抵の場合は安全に飲食できるものではなく(Non-food grade)食品に用いることができないものでした。これらの食品偽装は原価削減を狙いに行われるため、消費者にとって安全なものではなく最も安価なものが選ばれる傾向にあります。従って、私たちは海老を購入する際は毎回よく注意し海老の見た目や色、重量に異常がないか確認しなければなりません。
食品偽装に関するニュースでもう一件波紋を呼んだものがあります。それは2008年の中国国内での乳製品及び粉ミルク製品へのメラミンの混入です。 (5) 牛乳にタンパク質が多く含まれているように見せ試験に合格させるためにメラミンが添加されました。製造元の会社は自社の乳製品にメラミンが不適切に添加されていることを認知していましたが、これに対する対応を行うことなく関係者にも通知を行わずに何カ月もの間メラミンが混入した乳製品を乳幼児に飲ませ続け、それは全国で三十万人以上の乳幼児の不調と腎臓や尿道結石により六名の死亡の報告が出るまで続きました。数カ月に渡る検証の後に刑事訴訟となり、最終的に関係者には罰金や役職剝奪、禁錮刑の処罰が下され、死刑の判決を受けた者もいました。この事件により中国産の食品の安全性への信頼が大幅に崩れ落ち、海外の取引先は中国からの全ての乳製品の輸入を停止することとなり、その経済的損失額は計り知れないものでした。
消費者として食品偽装を防ぐことは非常に難しくチャレンジングであると言えるでしょう。いずれにしても生産者は消費者の安全性を保護するために様々な指針や規定、施策を有しています。製品の情報や詳細にアクセスできるようにし食品偽装を防止し、また、履歴追跡システム(Traceability)や危険性分析システム、ハサップ(Hazard Analysis Critical Control Point; HACCP)、脅威評価重要管理点(Treat Assessment Critical Control Point; TACCP)、食品偽装脆弱性重要管理点 (Vulnerability Assessment Critical Control Point; VACCP)、その他食品の安全性に関する各種の証明、特に世界食品安全イニシアチブ(GFSI)の承認を受けたBRC Issue 8 (6)、FSSC 22000 v5.1、SQF Codes Edition 9なども設けられています。食品の安全性に関する情報は時代に即したもので現代に相応しいものとするために常時改修されているため、これらの条件の詳細についてはまたの機会に触れたいと思います。例えば本年の第三期に発表される予定のBRC Issue 9ですが、どのように改修されたか、どのような点が変更になったかについて注目したいと思います。
ITO(THAILAND)LTD.社は消費者に寄り添い、食品生産者と合同で基準を設け、公衆衛生の規準に即し、食品法に則った生産工程の発展と改善に携わって参ります。消費者にとっての利益を最大限とすべく、各所の食品生産工場の現場に対して公衆衛生施策のご提案サービスを提供し、公衆衛生、公衆衛生面の対応に関する認識を高め、現場作業者に助言を行います。アフターサービスも対応しておりますので網羅されたサービスの提供が可能です。
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References
1.European Commission. Food fraud: What does it mean? [Internet]. [cited 15 Feb 2022]. Available from https://ec.europa.eu/food/safety/agri-food-fraud/food-fraud-what-does-it-mean_en
2.Breanna Gabbert. Eyes bigger than their stomach: Deceit in the Australian food market [Internet]. 2021 [cited 15 Feb 2022]. Available from https://www.counterfraud.gov.au/news/general-news/eyes-bigger-their-stomach-deceit-australian-food-market
3.Food and Agriculture Organization of the United Nations. Food fraud: Intention, detection and management [Internet]. 2021 [cited 15 Feb 2022]. Available from https://www.fao.org/3/cb2863en/cb2863en.pdf
4.Australian Food News. The 12 foods that top corruption by food fraud [Internet]. 2016 [cited 15 Feb 2022]. Available from https://www.ausfoodnews.com.au/2016/11/28/the-12-foods-that-top-corruption-by-food-fraud.html
5.Tania Branigan. Chinese figures show fivefold rise in babies sick from contaminated milk [Internet]. 2008 [cited 16 Feb 2022]. Available from https://www.theguardian.com/world/2008/dec/02/china
6.Paweena Maneepon. Understanding Food Fraud [Internet]. 2020 [cited 15 Feb 2022]. Available from https://www.bsigroup.com/globalassets/localfiles/en-th/webinars/understanding-food-fraud-webinar.pdf
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