ITO Thailand Hygiene Blog

May 30 2022

ハイパースペクトルイメージング技術

            現在では、市場における食肉の価値の指標にするためや消費において格付けするため、消費者のニーズに応えるだけでなく、消費者へのアドバイスを行うために柔らかさの格付けが行われています。以下がその例になります。

            1.米国農務省(U.S. Department of Agriculture; USDA) :柔らかい順にUSDA Prime、USDA Choice、USDA Selectの3つのレベルを設けています。(1)

            2.日本ビーフ・マーブリング・スタンダード (Japanese Beef Marbling Score; BMS):脂肪が全くなく柔らかさのレベルが最も低い1から霜降りが最も多く最も柔らかいとされる12までレベル分けされています。また、レベル8-12のものについてはA5というグループに入れられます。(2)

            3.ミート・スタンダード・オーストラリア(Meat Standard Australia; MSA) :肉に脂肪がないものを100点とし最も脂肪が多いものを1190点としています。また、柔らかさ以外にも色や脂肪層の深さ、枝肉の重量、完璧度などという他の観点からも格付けが行われています。(2)

            従来の食肉の柔らかさの測定方法では、刃を有する測定計 (3) を用いた肉の切断試験の破断強度により測定されますが、分析に時間がかかる上サンプル肉の準備が必要でその肉も無駄になるため、さほど勝手の良いものではありませんでした。そのために、肉の柔らかさを予測し分析するハイパースペクトルイメージング技術が発達しました。今日はこの方法がどんなものなのか、どれほど肉の柔らかさの正確な分析が可能であるのか、どれだけ分析にかかる時間が短くなったか、現在の方法を代替肉産業に用いることはできるかどうか、についてみていきたいと思います。

            ハイパースペクトルイメージングとは、構造状態を分析するもので、肉の表面の状態を2次元イメージでみることができ、生化学の状態は3次元イメージでみることが可能です。これらをビデオ映像と合わせて分析することで、サンプル食肉において分析対象の構成要素の位置情報を示すことが可能となります。これによりハイパースペクトルキューブまたはハイパーキューブと言われる3次元イメージが得られ、モデルの生成や適当な波長の選定が行われ (4)、得られた情報を元に各種化学的構成要素の分析が行われます。

            また、柔らかさは筋肉の性質であるため(脂肪には柔らかさの指標はなし。)食肉の脂肪量とこの方法の測定の正確性に関する研究が行われました。³ハイパースペクトルイメージング技術の正確性を比較するために75%、50%、25%、0%の量での脂肪断絶試験が行われ、その結果脂肪は食肉の柔らかさ予測の正確性には影響がないことが分かりました。従って、本方法は効率的で正確性が高く、たったの数秒で食肉の柔らかさを予測することができる、とまとめることができます。

            どんな方法にもメリットとデメリットがあることでしょう。ハイパースペクトルイメージング技術においても、コストが高く、また複雑な原理があるため生産部の従業員に対して研修を実施しよく理解してもらう必要があるというデメリットがあります。いずれにしても、この技術は食品産業にとって新しいテクノロジーとされているため更なる発展が可能であることでしょう。現在では機器の価格が下がってきた傾向にあるので、中小企業におかれても、大企業に引けを取らずに効率性があり基準に即した安全性のある食品生産を行うことを助長するテクノロジーを使用する機会となるでしょう。

            食品工場での活用法の例は以下になります。

            1.生産部における混入物の検出 例)カビやプラスチックが混入した原料。(5)

            2.食品の容器の穴や破れ傷の検出 (5) 破れ傷のある容器は、食品の品質を劣化させる、腐らせる、または消費者の健康に害を与える病気を発生させる可能性のある微生物の侵入口となってしまうためです。

            食品の品質評価に用いられる他に、生産ラインにおける混入物の検出や全ての産業において他面で活用することもできます。例えば、農家における農場の作物の成長や健康状態のモニター、オーストラリアにおけるブドウの成長のモニターや感染症警告システムの発展⁶、地質学者による大気写真からのミネラルの特定、地表下の原油量の検出、管からの天然ガス漏れの検出、また、医療においては生化学的構成要素の分析による身体の各種血管の働きのモニターなどが挙げられます。

            ITO(THAILAND)LTD.社は食品生産者と合同して、安全な食品社会のために、消費者の幸せのために、心配することなく安全に食事をとっていただくためにテクノロジーの発展に邁進します。また、食品工場における衛生改善施策について助言させていただき、プロフェッショナルに従業員を研修いたします。アフターサービスも対応しておりますので網羅されたサービスの提供が可能です。

References

1.Mindy Ward. Beef quality grades explained [Internet]. 2021 [cited 13 Mar 2022]. Available from https://www.beefmagazine.com/beef-quality/beef-quality-grades-explained

2.Meat N’ Bone. Beef Grading 201: How the world grades beef [Internet] 2018 [cited 13 Mar 2022]. Available from https://meatnbone.com/blogs/the-clever-cleaver/meat-beef-grading-system-understanding

3.Cluff, K., G. K. Naganathan, J. Subbiah, A. Samal and C.R. Calkins. 2013. Optical scattering with hyperspectral imaging to classify longissimus dorsi muscle based on beef tenderness using multivariate modeling. Meat Science. 95: 42-50.

4.Barbin, D. F., G. ElMasry, D. Sun and P. Allen. 2012. Predicting quality and sensory attributes of pork using near-infrared hyperspectral imaging. Analytica Chimia Acta. 719: 30-42.

5.Vincent Markiet. Benefits of Hyperspectral Imaging for Food Quality Assurance [Internet]. 2021 [cited 13 Mar 2022]. Available from https://www.advian.fi/en/blog/benefits-of-hyperspectral-imaging-for-food-quality-assurance

6.Lorente, D., N. Aleixos, J. Gómez-Sanchis, S. Cubero, O. L. García-Navarrete and J. Blasco. 2012. Recent Advances and Applications of Hyperspectral Imaging for Fruit and Vegetable Quality Assessment. Food and Bioprocess Technology. 5 (4): 1121-1142.

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