ITO Thailand Hygiene Blog
Innovation for sustainable physical contamination prevention
周知の通り、外部からの汚れは食品安全へのリスクをもたらすものです。そうした汚染の経路のひとつには、人間が媒介となって埃や汚れを製造エリア、高リスクエリアにもたらし、汚れや病原菌、異物により食品が汚染されて、消費者に危険を及ぼすということがあります。
汚染の媒介と予防
一日の作業をする間に、従業員は製造エリアと外部との間を何度も往復します。しかし、出入りする度に汚れや食品への危険を知らず知らず製造エリアに持ち込んでいる可能性があります。たとえばトイレからの病原菌、従業員の抜け毛、靴の裏の土や虫の死骸、埃、布屑、アレルゲンなども従業員の衣服に付着していることがあります。
汚染防止については、敏感さや製品の種類、対象となる消費者集団によって厳しさが異なってきますが、一般的には、製造エリアに入る前の手洗い・消毒、必要に応じた髪を覆う帽子やマスクの装着、着替え、靴の履き替え、エプロンの着用といった適正衛生規範があります。ですが、工場内の清潔基準を向上させてエンドユーザの信頼性を高めたい場合、敏感な消費者向けの製品の場合は、汚染防止テクノロジーを導入するとさらに有効性が高まります。
物理的汚染の防止テクノロジー
従業員による汚染を防止するために食品産業でよく使われているテクノロジーは、汚れを従業員の身体から除去する原理によって分類することができます。
•Adhesive force
粘着性のあるものを使って、埃や汚れを対象となるものの表面から除去します。たとえば、使い捨てシートタイプの粘着ローラーは、汚れを粘着シートに付着させた後、シートを剥がして新しくするものですが、多くのメーカーがあって入手しやすく、従業員にとって分かりやすく、電気も要らず、使用スペースも少なくて済むため、広く普及して使用されています。しかし、汚れを直接接触させなければ除去できない、粘着シートに粘着力が十分なければならないという限界があります。また、一般に粘着シートを何度も使うため、汚れがシート表面の一部を邪魔して粘着性が低下してしまいますから、常に粘着シートを交換していなければなりません1。これを怠って、粘着シートの交換が十分でないと、前の人の汚れが次に粘着シートを使った人の衣服に付着し、広がってしまうこともあります。それに、糊に含まれる化学物質も衣服に付いてしまうことがあります。粘着シートを交換する時には、適切に正しく剥がしてゴミを処分し、汚染を防止しなければなりません。さらに、粘着シートの在庫計画を立て、使用に十分な量を保管する必要もあります。
•Vacuum force
真空吸着の力を使って汚れを身体から除去することです。たとえば、埃と髪の毛を取る掃除機の利点として、吸引力があるので汚れに直接接触していなくても吸引して汚れを除去することが可能です。汚れは紙パックに収まるため、連続使用ができ、大勢が出入りする際にシートを交換する必要もありません。1回あたりの所要時間をセットしたり、使用回数をカウントしたりなど、使用基準を定めるための追加機能もあります。掃除機ヘッドも用途に応じて様々なタイプがあります。短所としては、設置場所に電気コードの配線が必要なこと、初めて使用する従業員が慣れるまで時間がかかる場合もあることとなります。
•Wind force
空気で吸引する他にも、空気を吹き付ける力で従業員の身体から汚れを除去することもできます。たとえば、エアシャワーは、密閉されたボックスになっており、所定時間のエアーを吹き付けることにより、従業員の身体から汚れを取り払います。長所は、従業員全員に対して同一の基準が適用できること、製造エリアの入口に設置するので他の方法より従業員に対する強制力があることです。短所は、電気が必要なこと、装置の設置に十分なスペースがなければならないこととなります。
•Washing
エアー以外のものを使って汚れを洗い落とすことも可能です。たとえば、水や洗剤で洗うなどです。長所は、乾式より清潔に洗えることです。短所としては、靴洗浄装置など水が流出しないよう限られた場所でしか使用できないということです。
汚染防止のイノベーション
このようなテクノロジーの他、ITO Thailandでは、もうひとつの選択肢としてウレタンジェルシート(Urethane gel)による埃と汚れの除去をご紹介します。これは日本のイノベーションで、埃、髪の毛、動物の毛、繊維等の汚れによる汚染を防止するものです。使い捨て粘着シートの長所である使いやすさ、必要スペースの少なさ、電気を関与させないでいいことはそのまま、シートを使い捨てせずに水洗いしたり拭き取ったりすればきれいにでき、同じ製品を何度も繰り返し使用できるため、ゴミの発生と備品在庫管理という短所が減っています。ウレタンジェルシートには様々な形態の製品があるので、用途に合わせて選ぶことができ、また、以下の通り多くの特長もあります。
•家庭用から産業用まであらゆる用途に対応(Multipurpose from home use to industry)
ウレタンジェルシートは、衣服の繊維屑、埃、動物の毛などの汚れを除去できるので、家庭用にも、産業における清潔のためにも使用することができます。形態も多様で、衣服や身体の汚れを取るための柄の短いボディローラー(body roller)には一般用と静電気防止用、静電気の発生しやすい部分用などがあり、靴の埃を取るための床置き型ステップマット(step-mat)には異なる用途の重量に対応した独占権設計の様々な機能があります。また、従業員の背中の髪や埃を取る背面マット(Haimen mat)は台付きのシートで、ローラーでは取りにくい従業員の背中の汚れを取ることができますが、この台に従業員の背中を付けることで効果的にジェルシートに接触させられます。さらに、エアシャワー壁面シートは、従業員をブローした際の汚れを取り、埃が飛び散らないようにしてくれるので、飛散した埃が再び衣服に付着してしまうこともありません。
Body roller
必要に応じ、身体やその他のものに付着した埃や髪の毛を除去。
STEP MAT
靴底の埃を取るのに適しています。
Haimen mat
ローラーでは取りにくい背中の異物を取ります。
Dust catcher
エアシャワーの埃が拡散しないようにしてくれます。
•高性能(High efficiency)
ウレタンジェルシートで効果的に埃を吸い取れます。身体と靴底の埃吸着率は、使い捨てタイプの粘着シートと比較するとウレタンジェルシートの方が90%以上も高く、シートを何度も洗った場合でも清潔さは維持されます。
•資源を節約し、持続可能性をサポート(Resources saving and Support sustainability)
ウレタンジェルシートは水洗いしたり、濡れ雑巾で拭いたり、モップをかけたりすることで簡単に汚れを除去してきれいにすることができ、それだけでジェルの粘着性が回復します。また、耐久性のある材料で専用に作られているため、3年も長持ちし、粘着シート在庫のためのスペースを減らせるので、長期的に経費削減となります。使い捨てタイプの粘着シートによるゴミも低減できます。
水洗いやモップできれいにできます。
用途に合わせて様々な場所で使えます。
References
1.Loomans, M. G., Ludlage, T. B. J., van den Oever, H., Molenaar, P. C., Kort, H. S., & Joosten, P. H. J. (2020). Experimental investigation into cleanroom contamination build-up when applying reduced ventilation and pressure hierarchy conditions as part of demand controlled filtration. Building and Environment, 176, 106861.
Related Post
-
食品産業における液体窒素
液体窒素は食べ物を急速に凍らせるということを聞いたことがありますか?そしてそのメリットや活用方法は何でしょうか?イトータイランドと一緒に食品業界における液体窒素について学びましょう。
-
ウルトラファインバブル(UFB)テクノロジー(パート2)
前回の記事では、農業・畜産・水産業における原材料や表面などの洗浄など、ウルトラファインバブルテクノロジーの利点について説明しました。この記事では、食品加工工程および食品業界の廃棄物管理におけるウルトラファインバブルテクノロジーの活用と、これらの微細な気泡を生成する方法について学びます。
-
ウルトラファインバブル(UFB)テクノロジー(パート1)
普通の気泡がマイクロ・ナノレベルに変化すると、我々が考えている以上に活用することができます。この小さな気泡の技術と食品産業への応用について、ITO(THAILAND)LTD.と一緒に学びましょう。
-
Frozen food storage management
冷凍は食品保存方法の1つですが、調理済み食品やインスタント食品、栄養が分解してしまいやすい食品など、劣化の早い食品、温度、光、酸素に弱い物質を含む食品によく使われます。製品中の水分を急速に固体にすることにより、物質の分子が反応を起こさなくなるため、食品が長く保存できるようになるのです。また、微生物の成長を抑え、寄生虫も殺してくれます。たとえば、USFDAでは、寿司や刺身などで生食する魚の場合、魚を少なくとも- 20℃で7日間、又は、- 35℃で15時間保存し、魚に含まれる寄生虫を制御することを推奨しています(条件は魚の大きさによって異なります)。
-
Boot Cleaner
食品産業における衛生のための靴の衛生管理
-
AI technology in Food industry world
AI技術によるHACCP支援手洗いシステム導入事例