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持続可能な食品産業のための廃棄物管理への挑戦
次世代の人と未来のための持続可能な組織開発とは、どのようにしたらできるでしょうか。方法の一つとして、組織の廃棄物問題への対応から始めてみてはいかがでしょうか。その影響は、考えているよりもっと大きいかもしれないのです。
持続可能性(sustainability)は、現代人が次世代の人や未来の計画を立てる時によく口にする問題です。食品産業においても例外ではありません。前回のコラムでは、食品事業の持続可能性を高めることの重要性と背景に加え、製品の種類を変更したり、原材料の産地を開拓したり、エネルギーや資源を管理したりするなど、改善例についてお伝えしました。
食品サプライチェーンにおける持続可能性のための廃棄物管理(Waste management in food supply chain)
持続可能な食品産業を開発するための方針の一つは、廃棄物管理と関わっています。たとえば、残って廃棄してしまう原材料を減らすために製造工程を変更したり、残った原材料の加工や他の産業への転売を行い、機能性物質や油脂を抽出してバイオ燃料や飼料として用いたりすることができます。小売店など末端の食品産業の場合は、商品発注量の改善を検討し、消費者の実際のニーズに合わせ、在庫管理効率を向上させれば、期限切れの商品量を減らせます。また、販売促進プロモーションを行い、商品を最大限に販売できるようにすることも可能です。飲食店については、環境にやさしい容器を検討したり、原材料の量に見合ったメニューや持続可能な原材料によるメニューを検討したりすることもできます。
食品原材料からの廃棄物の他、従業員が日常的に使い捨てているツールや備品も組織の廃棄物量に重要な影響を与える要因の一つとなります。特に、ビニール手袋やマスク、髪を覆う帽子、粘着ローラー、粘着マットなど適正衛生規範のための用品は、常に使用するものなので、大量のゴミが発生してしまいます。
食品産業における廃棄物の影響(Effects of agro-industry waste)
•組織の製造及び資源にかかるコスト
こうした使い捨て用品は、商品製造コストを高くしてしまいます。特に、従業員数が多い場合は従業員に対して十分な用品を準備しなければならず、用品の購入にかかる支出の金額だけでなく、大量の用品在庫の保管スペース管理についても考慮しなければならなくなります。食品への二次汚染がないようにするためには、払出し・購買プロセス、使用後の廃棄物処理プロセスも考えなければならず、廃棄・処分するゴミの運搬にも発生したゴミの量や重さに応じてコストがかかってしまいます。
•環境
タイ国では、廃棄物処理プロセスの実行効率の問題や適正なゴミ処理の問題を抱えています。たとえば、再使用、バイオ発酵技術、基準を満たした焼却炉の燃料として使用、埋立などについても、発生する全ての廃棄物量に対応しておらず、空き地や公害管理基準を満たしていない焼却炉で焼却する、不法投棄など、不適正にゴミが処理されてしまうという問題が発生しています。毎年、未処理の廃棄物も発生しており、2021年の情報によると、不適正な処理をされたゴミの量は781万トン、未処理は750万トンに上っています(1) 。処分できていなかったり不適切に投棄されたりしたゴミの一部は、環境に影響を及ぼすこともあります。たとえば野生動物や鳥の食物探しの行動が変化し、自然の食物ではなく、ゴミをあさるようになっています。こうしたゴミは水域・海洋の汚染にも繋がり、水面の日光を遮断してしまうことで水生植物が成長できなくなったり、水生動物が餌と間違えてゴミを食べてしまったりなど、水生動物にも影響を及ぼします。一部の種類のゴミは動物にからまり、普通の動きができなくなって死に至らせることもあります。
したがって、利用可能なゴミがゴミとして扱われないようゴミを分別したり、バイオテクノロジーで処理できる生ゴミを分別したりするだけでなく、発生源でその他のゴミの量を低減することも持続可能な方法の一つとなります。それは環境維持に役立つだけでなく、地球上の生態系における他の生物の命を守ることにもなります。
•人間の健康
海洋を汚染するプラスチックゴミは、動物に影響を及ぼすだけではありません。砕けてマイクロ単位・ナノ単位の微小な粒子(マイクロプラスチック、ナノプラスチックといいます)になると、人間の細胞に浸透し得るサイズになるので、健康に影響が及ぶこともあります。人間がこうした微小なプラスチックを摂取してしまう最も大きな原因は、汚染された海の生物を食べたり、こうしたプラスチックの混入した水を飲んだりすることです。また、海の塩や、砂糖、蜂蜜といったその他の原材料の摂取によっても起こります。影響として、発がんリスク、身体器官の細胞機能の異常などが挙げられます(2) 。つまり、ゴミの不適正な処分という問題は、最終的には人間に戻ってきてしまうのです。
廃棄物量低減イノベーションの事例(Waste reduction innovation case study)
廃棄物量の低減は、持続可能性のためにはかなり重要な問題となりますので、食品産業においては廃棄物量を低減するためのイノベーションの開発が行われています。ここでは、使い捨てタイプの粘着ローラーや粘着マットを繰り返し使用できるタイプに代え、廃棄物量を低減するという事例をご紹介します。これは、従業員からの汚染も防止できるものなのです。
⇒比較条件
•期間は2年。
•月あたり労働日数は20日。
•繰り返し使用できるタイプのウレタンジェルマットは、2年間繰り返し使用可。
•1と2、及び、3と4の例を比較。
* このデータは、所定の比較条件に限った場合の例です。
これらの製品購入による廃棄物量の低減・コスト低減の比較をしてみたい方は、こちらまでご連絡下さい。実際のデータを用いて、環境にやさしい持続可能な用品に変更した場合のコストパフォーマンスと資金の回収にかかる期間を計算します。
Reference
1.https://thaimsw.pcd.go.th/report1.php?year=2564
2.Shams, M., Alam, I., & Mahbub, M. S. (2021). Plastic pollution during COVID-19: Plastic waste directives and its long-term impact on the environment. Environmental advances, 5, 100119.
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