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Specific Spoilage Organisms (SSOs) 食品の品質を劣化させる微生物
細菌、カビ、ウイルスやその他を含む微生物による食品の劣化は、2種類に分けることができます。1つは安全上の消費期限ですが、この場合、病原菌の成長により食中毒などの病気を引き起こしたり、微生物の作る毒が身体に危害を加えたりします。もう1つは食品の品質劣化による消費期限で、たとえば、変色、食感の変化、匂いの異常、ラベル表示されたビタミン量の減少などとなります。この場合、安全に消費することはでき、摂取しても病気や異常が発生することはありませんが、消費者に容認されなかったり、満足されなかったりするものです(続きを読む:食品の保存期間に影響する要因、食品の保存可能期間の表示)。こうした品質の劣化は、微生物により発生することがあります。たとえば、酸生成菌により、味が酸っぱくなり、望ましくないものになることがあります。また、色素を生成するカビにより、食品が変色することもあります。さらに、微生物が成長し、酵素や匂いのある揮発性物質等の様々な物質を生成することで、食品の特性に変化を起こすこともあります。なお、含まれる微生物は食品の種類毎に異なりますし、その食品の状態がどの微生物にとって成長しやすいものかであるかにもよります。たとえば、酸に強い微生物もいれば、塩分や熱、低温、乾燥に強い微生物、嫌気性の微生物もいます。また、炭水化物、タンパク質、脂質等、微生物の餌となる食品の成分によっても異なります。
どの食品がどの微生物で劣化するか (1)
•肉類
肉の劣化は、動物が死ぬと始まるものですが、酵素や免疫系の機能が停止することにより、皮膚表面の汚れや糞、切り分けに使用する器具といった外部からの汚染が発生するというものです。また、従業員の手からの汚染もあります。肉類には血やタンパク質が含まれ、栄養豊富なため、微生物の汚染があると、それが成長しやすくなります。微生物による肉類の劣化には、以下のものがあります。
異常な酸っぱさ(souring):Lactobacillus, Leuconostoc, Alcaligenes, Pseudomonas spp.
赤、水色、黄色の斑点など異常な色(discoloration): Serratia marcescens, Pseudomonas syncyanea, Micrococcus, Flavobacterium spp.
スライム(Slime、粘りのある液状のもの):Micrococcus spp., Lactobacillus, Bacillus, Leuconostoc spp.
腐敗(Putrefaction):Clostridium, Alcaligenes spp.
骨周りの腐敗(bone taint):Clostridium spp.
食感の異常(spongy texture):Bacillus spp.
•乳及び乳製品
乳及び乳製品を劣化させる微生物の汚染としては、動物の乳房の炎症や傷による場合や、搾乳のプロセスが不衛生だった場合があります。よく見られる劣化と関連する微生物には、以下のものがあります。
異常な酸っぱさ(souring):Lactobacillus spp., Micrococcus, Bacillus cereus
風味の異常(off-flavor):Pseudomonas spp., Staphylococcus spp.
苦味(bitter):Pseudomonas, Flavobacterium, Bacillus spp.
異常な色(discoloration):Pseudomonas syncyanea with L. lactis, Lactobacillus, Leuconostoc spp.
粘り気(ropiness):Micrococcus spp., Alcaligenes viscolactis
悪臭(rancidity):Micrococcus, Serratia, Pseudomonas spp.
凝固(sweet curdling):Alcaligenes, Proteus spp
•野菜及び果物
野菜及び果物は、炭水化物、特に糖分、微生物、ビタミン、そしてミネラルの源です。また、微生物の成長に不可欠な水分が多くあります。野菜や果物の種類により、酸度、イモ等の塊茎(かいけい)の炭水化物の量、湿度、土壌との接触可能性(根や地下茎であるか、樹上の芽や実であるか等)、性質、構成が異なるため、劣化を発生させる微生物群は異なってきます。
異常な酸っぱさ(souring):乳酸菌による。Lactobacillus spp.等。
軟腐病(soft rot):ジャガイモ等の塊茎(かいけい)や地中の根に多く見られる。ペクチン質を分解する細菌により、構造が軟化。Erwinia spp. Pseudomonas marginalis, Bacillus, Clostridium spp. 等。
風味の異常(off-flavor):酸味のある果汁の場合、酸に強い微生物により発生。Alicyclobacillus spp.等。
発酵臭(fermented odor):酵母類による。
表面のカビ(surface mold)(2):カビPenicillium, Aspergillus, Rhizopus, Alternaria、及びFusarium spp.による。
•穀類及びパン
この種の製品は湿度が低いため、微生物による劣化はあまりありません。劣化するとすれば、カビによる場合が多くなります。ただし、パンの製造工程では湿度が高められ、生地を寝かせたり発酵させたりするため、Leuconostoc及びLactobacillus spp.群の微生物が成長することがあり、劣化することがあります。高湿の状態で焼き、ゆっくり冷ます製品の場合、B. subtilisという微生物が成長することがあり、製品に匂いの異常や粘り気(ropiness)が発生することがあります。
Reference
1.Robinson, R. K. (2014). Encyclopedia of food microbiology. Academic press.
2.Lasztity R. 2009. Food Quality And Standards – Volume III. EOLSS Publications
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