食品製造業者は、食品安全基準とプロセスを確保しなければなりません(2)。FSSC22000は、世界食品安全イニシアチブ（GFSI）が認定する食品安全マネジメントシステム（FSMS）の公式認証プログラムです。この認証スキームは、サプライチェーン全体の統一性、公開性、安全性を確保するための一連のガイドラインと手順を提供し、農家から小売業者まで、食品・飲料業界で事業を営むすべての企業に適用されます。必要な基準を満たし、FSSC 22000認証を取得することで、食品品質に関する要求基準を満たし、食品偽装、食中毒、高価なリコール、その他の外部からの脅威に関連するリスクを管理・軽減するための効果的なプロセスを導入していることが証明されるのです(1)。

範囲と構造　

FSSC 22000認証の要求事項は主に、以下の3つに分類されます (6) 。

            •ISO 22000

            食品安全マネジメントシステム（FSMS）の基盤は、ISO22000規格に基づいています。しかし、世界食品安全イニシアチブ（GFSI）の承認には、ISO 22000に準拠するだけでは不十分です。よって、FSSC 22000には、さらに以下の2つの要素が必要となります。

            •前提条件プログラム (PRP)

            これらのプログラムは、ISO/TS22002-1から派生したもので、事業所のレイアウトや構造、メンテナンスサービス、製品情報、従業員の衛生管理、食品偽装防止、防御システムに関する様々な要求事項がまとめられています。

            •FSSC 22000 追加要求事項

            FSSC22000の追加要求事項には、規制の遵守、食品安全担当者の効果的な管理、ユーティリティ、輸送、メンテナンスなどの管理サービスの適切な記録とレビューが含まれます。

            FSSC 22000は、ISO 22000食品安全およびISO 22002などの確立された認証規格を利用した、食品安全システムの包括的な認証スキームを包含しています。各食品生産組織には、それぞれの生産地域に合わせた適切な前提条件プログラム（PRP）を特定する責任があり、ISO 22002では、このプロセスを支援するためのガイドラインを提供しています。PRPは、害虫駆除や個人衛生など、食品製造環境内の様々な要因を考慮します。食品製造業者に適用される前提条件は、食品包装に関するISO/TS22002-1またはPAS223です(3)。

            言い換えれば、製造業者が既にISO 22000食品安全規格を取得している場合、この認証スキームの要求事項を満たすには、そのセクターのPRPの技術仕様に照らした追加審査を受けるだけでよいことになります。

FSSC 22000 vs. ISO 22000

            FSSC 22000スキームは、ISO 22000規格のFSMSを基盤として活用し、様々なプロセスの構造化された枠組みを確立するものです（SafetyCulture, 2023）。ISO  22000とFSSC 22000の主な違いは、その認証状況にあります。ISO 22000がGFSI認証を保持していないのに対し、FSSC 22000認証はGFSIによって承認、認証されているのです (4) 。

            FSSC 22000とISO22000には4つの違いがあります。第一に、ISO 22000はマネジメントシステムのみに焦点を当てています。次に、ISO 22000規格に従ったPRPの導入により、他の適正製造規範（GMP）規格との互換性が可能になります。また、FSSC 22000には、ISO 22000:2018、ISO固有の技術基準、および追加要求事項が組み込まれています。最後に、FSSC 22000の認証はGFSIによって認め、承認されていますが、ISO 22000認証はGFSIによって認められていません(4)。

FSSC 22000のメリット (5)

            •リスクと危害要因の軽減

            FSSC 22000は、効果的な食品安全危害要因マネジメントシステムを提供、安全な製品の製造を保証し、システムの継続的な監視、検証、改善のための環境とマネジメントの枠組みを確立します。

            •評判の向上と顧客の維持

            消費者が認証製品を信頼すれば、忠実な愛用者となり、将来的に新規顧客を獲得することさえ可能です。その結果、評判は急上昇し、事業所の価値が高まります。

            •国際市場への進出

            FSSC 22000認証は、GFSIによって世界的に認められた最大の規格であるため、世界中の人々から認知される可能性が高まります。これにより、海外市場に参入する際の製品マーケティングが容易になります。

            FSSC 22000は、食品小売業者、サプライヤー、製造業者を含むすべての食品サプライチェーン関係者に大きく貢献しています。小売業者は、FSSC 22000のフレームワークアプローチのメリットを享受することができ、あらゆる規模の企業が、ビジネスパートナーの期待に応えるカスタマイズされた食品安全マネジメントシステムを導入することができるようになります。サプライヤーに対しては、多くの著名な食品小売業者が、FSSC 22000のようなGFSI認証スキームの保有をサプライヤーに義務付けています。GFSIは食品安全基準を確立し、世界最大の食品小売業者とサプライヤーの連合から支持を得ています。製造業者にとって、FSSC 22000はサプライチェーン全体で広く受け入れられており、「一度認証されれば、どこでも認められる」というGFSIの原則と一致しています。FSSC 22000認証を取得した製造業者は、自社製品の品質が少なくとも同業他社と同等になることを期待できるのです (6) 。

            FSSC 22000のもう一つの特筆すべきメリットは、効果的な危害要因分析重要管理点（HACCP）システムの導入に関する包括的なガイダンスです。HACCPは、食品製造において危害要因の影響を受けやすいポイントを積極的に特定するものであり、これに対処しなければ、食品が消費に適さなくなる可能性があります。また、既にISO 22000の認証を取得している組織は、FSSC 22000への移行がより容易であることがわかり、FSSC 22000認証の利点はさらに強調されます(6)。

参考文献

1.(2023). What is FSSC 22000? Retrieved June 28, 2023, from https://fsns.com/what-is-fssc-22000/

2.(2022). Delivering trust and impact on global food safety with FSSC 22000. Retrieved June 28, 2023, from https://www.fssc.com/schemes/fssc-22000/

3.GCL International. (2023). FSSC 22000 GCL INTL. Retrieved June 28, 2023, from https://www.gcl.uk/certification/fssc-22000-food-safety-system-certification/

4.Mohanty, M. (2021). Difference between ISO 22000 and FSSC 22000. Retrieved June 28, 2023, from https://www.rajstartup.com/blog/difference-between-iso-22000-and-fssc-22000

5.Nimbly Technologies. (2021). 3 Benefits of Having Food Safety System Certification (FSSC 22000). Retrieved June 28, 2023, from https://hellonimbly.com/3-benefits-of-having-food-safety-system-certification-fssc-22000/

6.(2023). FSSC 22000: All You Need to Know. Retrieved June 28, 2023, from https://safetyculture.com/topics/fssc-22000/