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食品安全文化
食品安全文化とは?
食品安全文化は、企業の評判を守り、従業員の健康と安全を確保し、顧客に安全な体験を提供する上で重要な役割を果たしています (3)。
それは、食品安全に関する企業の集団的な考え方、行動、原則を指すもので、施設内の独自の文化と関連しており、監督されずともその運営を管理する、目に見えない態度、信念、行動、規則を網羅しています (3)。
食品安全に関する法的要求事項の遵守は不可欠であり、政府が義務付けている監査やQSC(品質、サービス、清潔)検査は、施設がこれらのガイドラインを遵守していることを確認するために実施されています。強力な食品安全文化を受け入れることで、こうした検査における企業のパフォーマンスは劇的に高まります。世界食品安全イニシアチブ(GFSI)は、食品安全規格を推進する国際的な取り組みです。基本的な法的要件を満たすことに加え、補足的なガイドラインを提案しています。これらの推奨事項を遵守することで、施設は事故のない職場づくり、ポジティブな評判の維持、より高い収益性の達成が可能となるのです(5)。
食品安全文化の重要性
組織の強固な食品安全文化は、顧客がその企業を選び、他者に推薦する可能性が増すことから、顧客ロイヤルティを高める上で絶対に欠かすことができません。品質管理と取扱手順に対する好意的な評判を通じて信頼を築くことが、消費する製品に対する顧客の信頼にとって極めて重要なのです。
食品安全へのコミットメントを共有することで、イノベーションが育まれ、プロセス、製品、サービスが改善されます。これにより、食品の品質が向上、顧客サービスが強化され、ブランドに対する信頼が高まります。さらに、革新的な考え方が優秀な人材を惹きつけ、従業員の満足度を高め、コスト削減と収益拡大の機会を生み出します。成長する食品安全業界は、数多くの可能性を提供し、新入社員や上級社員としてキャリアを築きたい人を惹きつけています。また、食品安全規制や業界基準に従うことで、競合他社とは一線を画し、顧客の健康と安心に尽力していると示すことができます。
最後に、強固な食品安全文化により、規制要求事項への対応を簡素化し、事業がすべての食品関連法を完全に遵守していることを保証することができます(2)。
食品サプライチェーンにおける食品安全文化の発展
一般的に、食品安全文化の発展に影響を与えるのは以下5つの要因です (4)。
1.リーダーシップの関与とコミットメント – 食品安全文化の確立には、リーダーシップの積極的な関与が必要である。規模の大きい企業では、ビジョンを明確にし、計画を概説、明確な目標を設定するために、全リーダーが協力する必要がある。関連認証を追求、マネジャーや部長に包括的なガイドラインを提供することで、その実施とチームの指導を成功に導く。
2.食品安全の重要性を強調‐マネージャーは、食品安全文化の重要性と会社の目標を従業員に伝え、ガイドラインの背後にある理由を説明、遵守に対する褒賞を提供すべきである。食品安全アンケートを通じて従業員のフィードバックを収集することで、食品製造工程における安全性をさらに高めることができる。
3.従業員研修の実施と明確な基準の設定 – 新しい洗浄剤や包装方法の使用など、食品安全に不可欠な慣行について従業員に対する研修を行う。食品安全における事業の成功を確保するために、原材料の検査や一般的な食品安全上の危害の管理について従業員を教育する。
4.必要なツールとリソースを従業員に提供 – 適切な設備で従業員の能力を強化し、AIベースのツールやリアルタイムのダッシュボードを活用したデジタル食品安全管理システムを採用する。自動化されたチェックリストと無料のリソースにより、効果的な食品安全の実践がさらに促進され、全体的なプロセスがより簡単かつ効率的になる。
5.モニター‐食品安全プログラムを成功させ、継続的に改善するためには、自己点検や手洗い慣行、清潔さ、食品安全ルールの遵守状況のチェックなど、食品安全手順の一貫したモニタリングが不可欠である。
食品安全文化のメリット (1)
法規制の遵守
食品安全文化の実践は、世界的な法規制の進展により、ますます不可欠なものとなっています。欧州委員会は、食品事業所における従業員の意識と行動を向上させるため、食品安全文化を規制の一般原則に含めることを計画しています。同様に、米国FDAは、食品安全新時代の青写真に食品安全文化の要求事項を組み込んでいます。オーストラリアとニュージーランドも、関連事項を監視し対処するために、酪農産業における食品安全文化の評価を導入しています。これらの要求事項が様々な地域で普及するにつれ、食品安全文化の評価により、関連規制が確実に遵守されることでしょう。こうした慣行を遵守することは、法的義務であり、食品安全の向上、食品施設における危害の防止に不可欠です。よって、企業は、消費者を守り、自社の評判を高め、規制上の要求を満たすために、食品安全文化を業務の基本的側面として取り入れなければなりません。
不適合事項の削減
食品安全文化の要求事項はGFSIが取り入れているのみならず、すべてのBRCGS規格にも統合されています。GFSIとBRCGSは広く認知されていることから、これらの規格を遵守することで、どちらの認証も認め評価しているブランドとの契約を確保できる可能性が高まります。
業績上のメリット
食品安全文化の評価は、規制要求事項を満たし、BRCGSとGFSI規格を満たすために不可欠です。さらに、事故と廃棄物の削減を削減することにより、経済的な利益をもたらします。ヒューマンエラーは食品廃棄の10.9%を占めますが、強固な食品安全文化を持つ企業はエラーが54%少なくなっています。食品安全文化の評価を実施することで、事故のリスクを85%削減し、ロスを最小限に抑え、財務パフォーマンスを向上させることができます。この評価を取り入れることで、企業はコンプライアンスのニーズを満たすのみならず、収益も向上させることができ、業務全般の改善に有益かつ戦略的なアプローチとなるのです。
参考文献
1.(2021). 3 ways Food Safety Culture can benefit your business. Retrieved July 23, 2023, from https://www.brcgs.com/about-brcgs/news/2021/3-ways-food-safety-culture-can-benefit-your-business/
2.Dalal, A. (2022). Food Safety Culture — What Is It And Why Is It Important? Retrieved July 23, 2023, from https://coggno.com/blog/food-safety-culture-what-is-it-and-why-is-it-important/#Why_Is_Food_Safety_Culture_Important
3.Greenlee, S. (2019). The Importance of Food Safety Culture. Retrieved July 23, 2023, from https://safefoodalliance.com/management/the-importance-of-food-safety-culture/
4.Hanson, E. M. (2022). Implementing a food safety culture in 2023. Retrieved July 23, 2023, from https://www.fooddocs.com/post/food-safety-culture
5.Motiwalla, A. (2021). The importance of food safety culture: the basics and more. Retrieved July 23, 2023, from https://www.monitorqa.com/food-safety-culture/
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